
家族の中で誰よりも早く、ピッカピカの真っ新なお湯にドボン!
「今日の王様はわしじゃー!」なんて気分を味わえて、一番風呂は本当に気持ちがええもんじゃのう。
じゃがみんな、「年寄りに新湯は毒」という昔のことわざを聞いたことはあるかのう?
これは「沸かしたての一番風呂は刺激が強くて、身体に良くない」という、昔の人の経験から生まれた教えなんじゃよ。
一番風呂のお湯は、日本の安全で綺麗な水道水そのもの。
もちろんお風呂に使うのにも全く問題ない。
じゃあ、なぜ身体に悪いと言われるのか?更に気になってくるのう…。
よし、その理由を、ひとつひとつ紐解いていくぞい!
ひとつめの理由は「残留塩素の影響」じゃ 。
水道水は塩素でしっかり消毒されとって、日本の決まりでは蛇口から出る水に0.1mg/L以上の塩素を残しておくことが義務なんじゃな 。
この塩素、バイ菌をやっつける頼もしいヤツなんじゃが、ちと“強い性格”をしとってな 。
一番風呂は誰も入っとらんから、塩素がそのまま元気いっぱいに残っとる状態なんじゃ。
こいつが肌のたんぱく質を酸化させる力があるもんじゃから、皮膚のバリア(皮脂膜)が弱くなり、水分が逃げやすくなって乾燥してしまうんじゃよ 。
さらに進むと、かゆみやヒリヒリ感、敏感肌の悪化を招いたり、髪のパサつきやゴワつきの原因にもなると言われとる。
清潔にするための塩素も、強すぎれば肌には刺激になるんじゃ。
一番風呂は“まっさら”ゆえに、ちと手強い湯なんじゃな。
ふたつめの理由は「浸透圧による影響」じゃ。
日本の水はミネラルが少ない“薄い水”の「軟水」なんじゃが、人の体はたんぱく質やミネラルがたっぷりで中身がしっかり“濃い”んじゃ。
水は薄い方から濃い方へ移動する「浸透圧」という性質があるから、お風呂に入ると水が「お邪魔しまーす!」とばかりに皮膚の中へじわ〜っと入ってくるんじゃな。
長く入っとると指がシワシワになる、あれがまさにこの現象じゃ。
ここからが重要じゃぞ。問題はその先なんじゃ。
皮膚の一番外側にある角質層は、本来、肌の水分を逃がさない「バリア」の役目をしとる。
ところが、一番風呂のお湯が入りすぎて肌がパンパンにふやけると、もともと綺麗に並んでいた角質のすき間が押し広げられて、ゆるんでしまうんじゃな。
するとどうなるか。お風呂から上がった途端に、その広がったすき間から、肌の中に元々あった大切な水分まで一緒に蒸発して逃げていってしまうんじゃよ。
角質のすき間がゆるんでお風呂上がりに一気に乾燥する、つまり「ふやけた後に乾く」ことが肌トラブルの原因なんじゃ。
じゃあ、家で一番風呂に入るときはどうすればいいか?
一番風呂を「身体に良い」に変える3つの対策を教えるぞい 。
対策その一【入浴剤の力】
バスソルトや入浴剤を使うのが手軽で効くんじゃ。
成分によってはお湯に残っとる塩素を中和してくれて、お湯のツンツンした性格がぐっと“まろやか”になる。
ミネラルや保湿成分が加わることで“さら湯”の刺激が和らぎ、お湯と肌のバランス(浸透圧)がやわらいで水が入りすぎるのを防いでくれるんじゃな 。
対策その二【水分補充】
風呂に入る前から勝負は始まっとるんじゃ!
入浴中は思っとる以上に水分が抜けていくし、特に一番風呂は水分バランスが崩れやすい。
入る前にコップ一杯の水を飲んでおく。いわば「事前の結界」じゃな。
これで脱水やのぼせを予防し、体の負担がぐっと軽くなるんじゃ。
対策その三【保湿の心得】
風呂上がりの“ひと手間”じゃ。
風呂から上がった直後の肌は、一見しっとりしとるようで実は水分がどんどん逃げていく状態なんじゃ。
カサカサやかゆみを防ぐために、お風呂から上がったらすぐにボディオイルやクリームで全身をさっと守ってやるんじゃ。
水分の蒸発を防ぎ肌のバリアを整えて、“入浴の良さ”をしっかり閉じ込められるんじゃな。
「入浴剤を投入!風呂は入る前に一杯!上がってひと塗り!」この3つで、湯の効き目はぐっと変わるんじゃ。
ちなみに、温泉の一番風呂はどうなんじゃろうか?
温泉というのは、ミネラルなどの成分がもともとたっぷり入っとるから、最初から“中身がしっかりしとる湯”なんじゃ 。
だから、さら湯のような“ピリッとした硬さ”が少なくて、肌あたりがやわらかく刺激が少ない。
じんわり体に馴染んで、さら湯の若さとは違う、“丸み”があるんじゃな。
昔の人はなかなか鋭いことを言うもんじゃ。
「年寄りに新湯は毒」というのも一見ただの迷信のようじゃが、塩素や浸透圧の仕組みを知れば、理にかなった先人の知恵だとわかるじゃろう?
今はその理由が科学でハッキリわかる時代じゃからな。 昔の教えに現代のちょっとした工夫を足して、いつものお風呂をぜひ“本当の癒し”に変えておくれ。
万葉おじさんからのひとことじゃ。
「昔の言葉を笑うでないぞ。湯の中にも、ちゃんと理(ことわり)があるんじゃ」
家のお風呂をひと工夫するのもええが……わしはやっぱり、最初から極上にまろやかな「万葉の湯」が呼んでいる気がするわい。
それじゃあ、お先に失礼するぞい。
